2014年7月

「自治体の水ビジネスはそんな簡単なもんじゃない。【タイPWA報告】」

近代水道として横浜水道が日本で初めて創設されてから100年を記念して、これまで約30年弱、2400人を超える海外からの研修生を横浜市水道局は受け入れてきましたが、タイ王国のバンコク以外の水道を管轄するPWA(タイ地方水道公社)もその1つ。なんと初代の研修生が、総裁・副総裁に就任しています。

横浜市水道局の人事異動の関係で、横浜とPWAの関係が薄くなってしまってから、なんとかこの強い絆を復活させて、横浜水道とPWAの関係を再構築をしていこうと、昨年はじめてPWAを訪問してから、JICA(国際協力機構)、横浜市水道局、横浜市水道局が100%出資してつくった横浜ウォーター株式会社などと、どうやったら関係を再構築できるかという調整を重ねてきました。

横浜市水道局も、今後、人口減と更なる節水対策により、水道料金収入の減少が見込まれる中で、どこまで皆さんからいただいている水道料金の中で国際貢献ができるのかということは、1つの大きな議論になっていきます。今後は、協力も勿論ですが、稼げるところは稼いでいこうということが、大きなテーマにもなっています。

皆さんも、よくテレビや新聞で「自治体の水ビジネス」という言葉を聞くかもしれません。横浜ウォーター以外にも、東京水道サービス や、会社は作っていませんが、北九州市上下水道局が海外に展開しています。

そして、今回、PWAと横浜の新たな関係構築として、JICAを通じた横浜ウォーターとPWAの「協力」と「ビジネス」について、初めて議論をしてきました。

僕自身が水ビジネスをやったり、この仕事が成立したからと言って1円も入ってこないのですが、何とか横浜の財産であるPWAとの関係を再構築したいという一心で、調整に当たっていますし、自治体の水ビジネスの可能性がどんなもんなのか、非常に興味があります。

今回の調整で感じたことは、自治体水道の海外展開にあたって、「協力」と「ビジネス」では大きな違いがあるということです。

現在、横浜市をはじめとした自治体水道事業体と海外との連携・協力は、そのほとんどがJICAの事業 で行われています。それは何かというと、代表的なのが草の根事業と言って、自治体がJICAの予算で相手国の水道事業体から技術者を受け入れたり、逆にこちらから自治体の技術者を派遣したりする事業です。

これは、基本的には派遣する費用を含めたリスクをJICAがとってくれますので、自治体は勿論、相手国からも当然喜ばれます。現在全国の自治体が進めている「海外との水道協力」の殆どは、まさにこれにあたります。

また、JICAでは「普及・実証事業 」という事業も展開しています。例えば水ビジネスを海外で行いたいけれども、まずは相手国に払わせるのではなく、JICAが資金を提供しますよ。という事業で、これはビジネスに近いのですが、JICAが1億円まで投資してくれるので、相手にしてみれば懐もほとんど傷まず、悪い話ではありません。

しかし、これがJICAや日本の自治体、つまり日本側がお金を出さないホンモノのビジネスになってくると話は大きく変わってきます。

今までPWAも含めて、ほぼすべての日本と関係するアジアの水道事業体は、JICAがお金を出さない、もしくは何かしらの「自治体との無償協力」が含まれていない事業を日本の自治体とやったことがないと思います。

そういった裸の状態で横浜ウォーターのような自治体企業がビジネスに乗り出すとどうなるかと言えば、現地の他の民間企業と同等か、もしくはそれよりも厳しい規制を受けることになります。

今回も、横浜からの協力なら大歓迎だが、ビジネスとなると、横浜市とPWAとの包括提携も何もない中では、横浜ウォーターの扱いは慎重にならざるを得ないという、まあ、向こうからしてみれば当たり前の話が出ました。横浜に中小企業振興基本条例があるように、先方だって、同じお金を使うのなら、国内企業に使ったほうがいいというのは当然の話です。

しかも、入札などになってくると、日本の会社は独自で入札に参加できず、現地の経験ある会社とのジョイントが求められます。ただ、現地で提携する会社がいい会社なのか悪い会社なのか、それを自治体企業が判断できるかというとかなり難しく、これは民間企業でさえもよく失敗するところです。

韓国のKウォーターなどは、「公社」でありながら世界で戦えるのは、こういった課題にオール韓国で取り組んでいるからだとよく言われます。確かにKウォーターはかなり公的な会社で、大統領も先頭に立って外国にトップセールをしますが、バックにいるのはサムスンです。

横浜ウォーターも、ガチで世界で稼ぐとなると、技術はあったとしても、これはかなりの体力と予算が必要で、なかなか単独では難しいと思います。オール横浜、またはオールジャパンで展開していく必要があります。

逆に、僕も議会で議論しましたが、横浜ウォーターが宮城県山元町で展開しているように 、国内の水道事業案件というのは、安全保障上、日本にとっても横浜ウォーターにとっても、住民の皆さんからしても利益が大きいと思います。

タイはそういう意味で全く発展途上国ではなくて、PWAにはeウォーターという、横浜ウォーターのような子会社まであります。ここでタイの国内事業も手掛けていますし、海外事業も行っています。みんな考えることは同じです。

でも、まだ僕らが諦める段階ではないと思います。横浜のチャレンジは、日本の自治体水道における国際展開の在り方がかかっています。こうなったらとことん挑戦して、またご報告をさせていただきたいと思います。

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