2012年11月

「議員になって考えるハワード・ポーターの言葉。」

横浜市会では、議会基本条例調査特別委員会に所属し、日本で最大の基礎自治体である横浜市会の、そして横浜市の住民代表である議会のあり方について、日々議論がされています。

もともと、早稲田大学マニフェスト研究所 では全国の自治体の議会改革のお手伝い を仕事としていましたが、外部で外から変えるのと、議員として中から変えていくのは、かなりアプローチや意識の持っていき方が異なります。背負っているものもありますし、委員会に出られない、僕らの会派の他の議員の意見もあります。

ちょっと悩んでいるときに、大学院時代にずっと研究していた、ハワード・ポーターという、日本の地方議会制度をGHQの一員としてつくった、元オハイオ州議会議員の文献を思い出しました。

制度よりも意識をまずは変えなければいけません。


現在の地方議会の姿は、昭和22年5月3日に日本国憲法と同時施行された地方自治法によってかたちづくられている。

たった65年前の話であるが、65年間でよくもまあこれだけ運用がゆがめられてしまった。または、当の地方議員が当時の立法趣旨を忘れてしまった。

または、65年間の行政運営の中で、地方政府の施行部側が自分たちの都合がいいように解釈を曲げていった。と、しかいいようがない。

極めつけには、65年前につくられた法による現在の制度じゃだめだといって、地方政府の多様化を進める地方議員の議員連盟までつくられている。

法の下の制度としての民主主義というのは「解釈」だなと実感したのが大学院生の時、1人のGHQ職員について関心を持ったことにある。

彼の名は、ハワード・ポーター(Howard D Porter)。

日本国憲法案を起草したGHQ民政局の中で、憲法ドラマにもよく出る有名な民政課次長のケーディス。その部下として現在の地方制度案に大きな影響力を持ったセシル・ティルトン地方政府課長。

ポーターはティルトンの部下として地方政府課「府県係長」としてオハイオから赴任した文民であり、元オハイオ州議会の議員であった。

オハイオ州議会議員であったポーターは、ティルトンの下で、地方自治法の中の、特に議会の条項について、出身であるオハイオ州のものと比較し精査した。

元東京都知事、鈴木俊一氏が昭和34年5月に行った「地方自治法昭和二三年改正をめぐる座談会」での発言でもその姿が浮かぶ。

鈴木曰く「・・ポーターが初めて地方自治を担当することになったが、彼は向こうで議会の議員をやっていて法律の素養もあり、実際の経験もあった。だいたい司令部の担当官というのは皆地方自治を担当したことのない者ばかりなんだ。(中略)ポーターは(地方自治の勉強、経験)両方持っていた。あの人は六尺四、五寸で、二十七、八貫のすごい大きな男だった・・」

「模範チャーターとか、彼の郷里のオハイオ州のチャーターと比べて、おかしいと思うところをみな書き出していた。そういうところで当事者の趣味もまじりはじめた。初めは荒削りのところでやったが・・」

僕ら地方議員が、僕らの仕事をするうえで、その仕事の権限のよりどころとしている地方自治法96条。

この96条の制定に大きな影響を持ったのが、まさにハワード・ポーターであり、今の僕らのあり方はこのポーターの存在に大くを機縁している。

でも、たぶん、殆どの地方議員がポーターのことは知らない。

国立国会図書館が所蔵しているGHQ資料の中で、僕はポーターが残した「POWERS AND RESPONSIBILITIES OF THE LEGISLATIVE BODY」「立法機関における責任と権限(筆者訳)」という文書をたまたま探すことができた。

その中では

  • 憲法、地方自治法制定によって強化された議会主導による官尊民非の打破
  • 地方議会議員のeligibility (被選挙権)及び議会の組織について
  • 地方自治体、地方議会の自治権、条例制定権について(憲法94条、自治法14条)
  • 地方議会の議決事項について(自治法96条改正案)
  • 自治法100条、98条, 121条における、地方議会の調査権について
  • 地方自治体の債権発行と地方議会の責任について
  • その他の地方議会の権限と、地方議会が権力を行使するべきでない事項について
  • 地方議会議員の心得について

などに触れていて、特に地方議会の議決事項の拡充については31もの事項を掲げ、その事項が地方自治法96条改正につながるポーター独自の見解と捉えられた。

この「ポーター文書」、また数少ない他文献におけるポーターに関する記載を読んでわかったことは、少なくともポーターは、65年前の地方自治法の制定期において、オハイオ州をモデルとした議会主導の自治体運営を想定していたということだ。

戦後の混乱期の中で、
明治以来のがんじがらめの中央集権制度の中で
地方議会が「議員立法」という制度すら「はあ?」という時代の中で

まさにその時、議会制度をつくる側のポーターは、日本の地方議員に対して「決起せよ!」と言っていた。

" Act for yourselves. Do not be dissuaded by someone who state that what you are proposing is wrong, that it is unconstitutional, that it is not legal or that it is legal. Courts alone state what is legal and what is not legal. The governor and the administrators cannot do this for you nor should their opinions no matter how sincere. Step your action. You cannot be defeated in your purpose by side line yapping and sniping.
In other words, please produce, in the last analysis in a democracy.
The great issues are settled at the polls in the Bar of Public Opinion."

ポーターは日本から帰り、故郷オハイオで亡くなったらしい。

65年後の僕ら日本の地方議員。

ポーターはどう思うだろうか。

法律や制度のせいにする前に、意識として、まだまだ足りないんじゃないかというのが、生意気にも僕の気持ちです。

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