2014年11月

「海外の姉妹都市をどう深化するか」のモデル【フランス・リヨン市訪問】

先日3日間の日程を終え、フランスのリヨン市から戻りました。
横浜リヨン友好委員会の事務局長として、横浜・リヨン市姉妹提携55周年の記念式典に参加することが名目上の主な目的でした。ですが、この式典に参加する前からの1年間、リヨン市訪問の為に準備し、考えていたのは、これからの自治体の姉妹都市提携の意味です。

日本の多くの自治体が、それぞれ海外の都市と姉妹提携しています。これ自体は珍しいことではありません。横浜も、今回のリヨン市以外に7つの都市と姉妹都市提携をしていますが、実はこのリヨン市も含めて、姉妹都市と一体どうつながっていくのか、何をしていくのか、他の都市とどう違うのかという意義が問われています。

リヨン市と55年前につながったのは、「絹」の交流です。世界遺産になった富岡製糸場でできた絹や、八王子からの繭を横浜港からフランス・リヨンに輸出し、リヨンの織物市場は大いに盛り上がりました。が、今となっては、横浜もリヨンも絹の産業自体が当時の比較にならないくらい衰退しています。

絹の交流からの姉妹都市交流として、55年経った今、核がなくなった単なるお友達交流だけでは、姉妹都市としての価値は減ってしまうわけですが、それでも、55年間の姉妹都市提携の歴史は重く、他の自治体と比べて、そこが横浜のアドバンテージです。そこで、姉妹都市提携をより深化させるというのが、今回の55周年の意味だったと思います。

それは、リヨン市主催である55周年式典でも表現できました。今回、ご無理をお願いして、市内専門学校の団体である各種専修学校組合の皆さんにリヨン市に(自腹で)来ていただきました。日本文化への関心が深い、リヨンの皆さんに、日本の着付けを体験いただき、日本の文化、技術とこれをビジネスとしている市場を見ていただきたかったのです。この着付けパフォーマンスにも、モデルの選定から衣装の選びから、日本からの運び方まで相当の準備がかかっていますが、多くの皆さんのご協力で実現することができました。

また、パフォーマンスだけでなく、リヨンの専門学校と横浜の専門学校の今後の連携を模索するための意見交換会も開催しました。少子化に伴い、日本の専門学校も経営の岐路に立っています。横浜市内で一番多くの海外からの学生が通っているのは、実は大学ではなくて専門学校です。学生の中心はアジアですが、今後、アニメーションや服飾、料理の分野で横浜とリヨンの学生交流は大いに期待できる分野です。リヨンを皮切りに、フランス全土まで広がれば、かなりの市場になると思います。

着付けのモデルさんは、リヨン第三大学の生徒さんですが、今回は横浜市大からもリヨン市を訪問し、リヨン第三大学と横浜市大の交換留学も調整いただきました。姉妹都市提携が広い分野の持続的な学生交流へと深化しています。

また、姉妹都市提携をビジネスにも深化させます。今回の訪問で、リヨンを含む、ローヌ・アルプ州の企業国際開発局(ERAI)との連携調印も果たすことができました。

ローヌ・アルプ州は、1993年より東京に常駐事務所を置き、ローヌ・アルプ州の企業の日本進出、日本企業のローヌ・アルプ州への進出、日本・ローヌ・アルプ州間のクラスター交流を行なっていますが、既に日本に進出しているフランス企業の約15%がローヌ・アルプ州出身企業であり、その約半数がerai 東京事務所を通じて日本に進出していて、約100社の日本企業がローヌ・アルプ州に進出しています。

今回はこの東京事務所を横浜に移転することも視野にいれた協定で、既にリヨンのERAI本部には、横浜の席が用意されていました。このERAIや在リヨン領事事務所、JETROなどの協力で、横浜市経済局が開催したのが「横浜経済セミナー」です。

正直、横浜の知名度はリヨン市民の中ではまだまだです。今回、こうした機会を通じて「東京を考えていたが、横浜もあるのだったらもう一度考えてみよう」と思ってくれた経営者もいました。また、今、リヨン市はスマートシティでヨーロッパの中での地位を確立しようとしていますが、その技術を支えているのは、横浜でもスマートシティプロジェクトを手掛けている東芝です。

◆リヨンPROJECTのサイト

東芝さんには思いっきり活躍いただきたいのですが、発想は横浜の既にやってきたものと変わりがありません。また、街には昨年訪問したスペイン以上に電気自動車のEVスタンドと横浜のような相乗り用のEV、またルノー版のチョイモビが整備されていました。

ここがポイントで、実は横浜の現在のスマートシティ政策は、リヨンとほぼ変わりがありません。というか、ヨーロッパの中でのスマートシティ施策は横浜と同様、ほぼ固まってきています。モデルができたから、あとは全世界に民間ベースで普及してくださいというのが1点と、やはり日本の水素エネルギー革命は、世界のトップになれると実感しました。

スマートシティの雄を目指すリヨン市でさえも「(水素の)話は知っている、まだ研究段階だ」(環境担当副市長)というように、ヨーロッパではまだダイムラーが実証実験をしているレベルです。横浜では、早ければ年内に市内に市販FCVが走ります。

来年、今度はリヨン市幹部が横浜を訪問してきますが、その時にはリヨン市長をFCVに乗せて、横浜の水素ステーションで充填させてみたいです。水素エネルギーのマネジメントも、リヨンに輸出できれば、自治体外交の大きな成果です。

姉妹都市関係は単なる「乾杯文化」の友達関係で終わりません。横浜ではそこで絶対に終わってはいけません。今回の55周年訪問で、国の外交でできない自治体外交の成果を横浜から発信できたと思います。

横浜リヨン友好委員会の事務局長として、市役所はじめご尽力いただいた皆さんに心から感謝申し上げます。次は5年後の60周年に向けて走り出します。

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