2016年9月

「横浜で小児医療費助成が小学校3年生から小学校6年生まで拡大される議案の討論。」

横浜市会本会議で、小児医療費助成を小学校3年生から小学校6年生まで拡大する議案が共産党以外の賛成多数で可決成立しました。

「あったほうが絶対にいい」のがこの補助金です。でも、多くの人にとって「なかったら生きていけない」というものでもありません。そこの感情論を踏まえ、本会議上で、自民党を代表して意見を述べさせていただきました。

「我が国は世界で見ても乳児死亡率や新生児死亡率が最も低い国となっているが、こうした世界最高の保健医療水準を支えているのが子どもや妊産婦も対象となる国民皆保険制度である。

国民皆保険制度の下、子どもの医療費の窓口負担については、義務教育就学前は2割、就学後は3割とされているが、子どもと保護者が安心して医療機関を受診できるよう、地方自治体が少子化対策の一環として地方単独事業によりさらに減免措置を講じている。現在、全ての自治体で何らかの形で実施されているが、対象となる子どもの年齢や医療費の範囲、所得制限や一部負担の有無など、その内容は自治体により様々であり、近年、自治体間で対象範囲の拡大に向けた競争が激しくなる傾向にあり、統一的な基準を示す必要があるとの声も高まっている。」

厚生労働省の「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」が本年3月28日に公表した「議論のとりまとめ」では、小児医療費助成の現状をこう示唆し、
「医療制度において無償化を行うと、基本的には後戻りできないため、地方自治体のサービス拡大競争の中で安易に決めるべきではなく、国が定める医療保険制度の中で、規律を持って決めるべきである。」
「一部の地方自治体においては、医療費無償化が実施されているが、過剰受診などモラルハザードを生じうるために基本的に好ましくなく、一部負担を徴収したり、償還払いにしたりすべきである。また、一部負担の一律の引下ではなく、マイナンバーの活用等により、低所得者や資産を有しない者など、真に支援が必要な者に限って負担割合を引き下げることが適当である。」
というような意見も出されました。

今年の第1回定例会で我が党の横山正人幹事長が断言したように、自治体による小児医療費助成制度の拡大には財政的に限界があります。

今回の議案は横浜市が小児医療費助成を小学校3年生から6年生まで引き上げるものですが、受益者の自助努力を組み合わせることにより財政的な負担を減らし、制度を持続可能なものにしていこうとする姿勢が表れており、我が党は本議案に賛成します。

また、今回の議論の中では「県内他都市と比べても横浜の助成は少ない。」というご意見が多くありました。ごもっともな意見ですが、県内他都市では異なった状況になってきています。

本市金沢区に隣接する横須賀市は人口減少が続いています。2004年に、人口減少対策の一環として、「子育て世代に「選ばれるまち」」を掲げ、小児医療助成を小学校6年生までに拡大し、横浜・川崎をリードしているということを大きくPRされていました。その横須賀市の議会の本年第1回定例会ではこんなやりとりがありました。

「これまで、近隣他都市に対して優位性を持った本市の小児医療費の通院費助成は、横浜市と川崎市で来年4月より小学校6年生まで拡充する方針が示されました。また、本市と実質的な競合対象である大和市は中学校修了まで、厚木市と海老名市では所得制限なしで中学校修了まで実施されています。今後、他都市との優位性がなくなることについて、市長の現状認識をお聞かせください。」
という質問に、市長は
「小児医療費助成の対象年齢拡大につきましては、子育て世代の関心が非常に高い施策と捉えています。一方で、自治体間で対象年齢の拡大を争うことは、本来は望ましくないとも考えています。本来的には国の施策として、統一された制度とするべきだと思いますが、次世代を担う子どもたちの成育環境の充実のためには、必要な制度であると考えています。」
と、私が察するに大変厳しい答弁をしているわけです。

今回、本市のように医療費助成引き上げの議案をだしていない茅ヶ崎市の議論の中では、担当課長が
「各自治体間で今のような形で競争が激しい状況になっていると思う。これがどこまで続くのか大変危惧している。」
と議会で答弁され、同じく人口約4万4千人の南足柄市でも、副市長が
「小児医療費を無償化するというのは、悪い政策ではもちろんないわけですけれども、ただ、我々が辛いのは、自治体間競争みたいになるのが非常に事務を執行する上で辛いところではある」
と議会で答弁されるなど、小児医療費の助成競争に危惧を示されています。

また、既に小学校6年生まで引き上げている藤沢市議会などでは中学校3年生に、中学校3年生まで引き上げた海老名市議会では18歳までの助成拡大が一部会派から提案されるなど、この補助金競争は止まりません。

小児医療助成費の補助金競争が、本来目指した地方分権の姿なのか、自治体経営時代の模範となる姿なのか、私は大きな疑問を持っています。

既に神奈川県市長会からも多くの機関に要望が出ていますが、全国最大の基礎自治体であり、特別自治市を提唱し、それを目指している横浜市がとるべき道は、この助成合戦を煽ることではなく、横浜市民はもちろんのこと、日本国のすべての市民のためにどう制度を確立していくのか。待機児童対策などをはじめとする子育て政策に大きな力を入れる林市長が率先して国に働きかけるべきだと思います。私も地元の国会議員とこの問題について話をしています。

特別自治市を目指す横浜市だからこそ、他の周辺自治体のためにも、単純な補助金競争ではない、持続可能で地域性あふれる子育て政策の善政競争をリードしていくことを要望し、討論を終わります。

この意見を述べる際、共産党や多くの皆さんからヤジをいただき、傍聴していたうちのインターン生はビビっていました。多事総論。皆さん、是非横浜市会にお越しください。

自由民主党神奈川県第19選挙区支部支部長
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