2013年12月

「横浜市会議会基本条例案のポイント~市会議員の区行政への関与」

約2年半前に当選してから2年間、横浜市会議会基本条例調査特別委員として、今は議会運営委員会のメンバーとして、「横浜市会議会基本条例」の制定に取り組んでいます。

このたび、条例案について1月14日まで市民意見募集、パブリックコメントをしています。

議会基本条例って何?と言えば、僕が所属する横浜市会、役職としての横浜市会議員としての、権限・役割などを明確に条例上規定するものです。「そんなの昔からあるんじゃないの?」と言えば、実は必ずしもそうではなく、国の地方自治法によって僕らの役割は大枠で規定されているのですが、地方分権改革が進み、地方自治法の運用と、地方議会の現状に大きなギャップが生まれてきました。

議会基本条例は7年前に北海道の栗山町という13000人の町で初めて制定され、現在まで多くの議会で制定されてきました。僕も、早稲田大学マニフェスト研究所時代に、千葉県流山市議会 、岩手県奥州市議会 などの議会基本条例制定に関わらせていただきました。研究職から議員になって、しかも地元の横浜で議会基本条例をつくるときに心掛けたのは、「単なる先進事例のコピーにしない」ということでした。

栗山町議会からはじまった多くの議会基本条例の流れを見ると、その多くにただの「パクリ」が見られます。流れに遅れちゃいけないからつくっておけ!という感じのものです。議会基本条例で一番重要なのは、その制定過程で、議会とは何なのか。僕らにそもそもどんな権限があるのか、また、ないのか。棚卸をする作業です。プロセスが大事なのです。

今回、僕は、横浜市会の大きな課題だと感じた2つの項目について、委員会審議で特に強く主張させていただき、大きく2項目が条例案に取り入れられています。

そのうちの1項目で今回、この条例案における全国初めての試みがあります。それは、「政令市の市会議員の区行政への関与を法的に定めること」です。

横浜市民の皆さんにお聞きしたいのですが、皆さんは自分の区の区議会議員を知っていますか?? ・・・絶対に知りません。だっていないのですから。

皆さん、自分の区の区長の名前知っていますか?? ・・・たぶん殆ど知りません。だって、皆さん選挙で名前書いてないですから。区長は横浜市役所の職員です。

もう1つだけ。皆さん、都筑区の方針って誰が決めるか知っていますか? ・・・僕じゃありません。僕は横浜市会議員ですから。法的権限がありません。都筑区で働いている横浜市役所職員が決めます。

じゃあ、いったい市会議員のお前は都筑区で何やってるんだ!!??実は、今回の議会基本条例制定の1番のポイントはここです。政令指定都市制度が導入され、横浜市が1956年に政令指定都市になってから半世紀以上、民主主義による「区政」というものはあってないようなものです。区長は役人、区議会議員はいない。区選出の市会議員には区政関与の法的権限はない。誰も民意をもって区政を進めることができない現状が続いています。これを何とかして打開したいと考えています。

例えば、都筑区と同じ20万人規模の自治体では、東京都の渋谷区、同じ県内の小田原市、鳥取県の県庁所在地である鳥取市などがありますが、渋谷区には34人、小田原には27人、鳥取には36人議員がいて、住民が選んだ首長がいます。都筑区で住民に選ばれる公選職は、僕を入れて4人の市会議員、2人の県会議員しかいません。

現状は、この市会・県会6人による都筑区議員団会議という会議が年に2回程度、市会議員4人による区づくり推進横浜市会議員会議が年に4回程度開催されています。先日も、区役所で都筑区議員団会議が開催されましたが、区長以下、部長級・課長級が僕らの前に揃いますが、基本というか、議題は「報告事項」のみで、審議事項はありません。だって、この会議には法的権限がないのですから。区づくり推進横浜市会議員会議も、法的権限がないのは勿論、議事録の作成、運営方法、開催時期、など、運営ルールも18区全部でバラバラでした。議会基本条例調査特別委員会でも以下のような問題点を指摘しています。

◆(草間委員)

区づくり推進横浜市会議員会議ですが、この会議の法的有効性は、横浜市の体系的にはどのようなところに位置づけられているのか確認いたします。

◎(内田議会局長)

区づくり推進横浜市会議員会議は、平成6年に制定された運営要領に基づいて、目的は、本市における個性ある区づくり推進費について協議するため、各区に区づくり推進横浜市会議員会議を置くということで、議長が招集することになっております。

したがいまして、直接法律もしくはそれを受けた条例等の根拠ということではなく、議会内のルールとして、運営要領を定めた上で実施しているところでございます。御案内のとおり、会議の事務は区長が行い、座長は会議の概要を議長に報告するという形で、おおむね翌年度の予算案に関して2月ごろ開催、執行計画に関して6月ごろ開催、10月には前年度の実績と当該年度の執行状況、翌年度の予算編成の考え方に際して開催することとされております。

◆(草間委員)

区づくり推進横浜市会議員会議に与えられている権限は、何があるのでしょうか。

◎(内田議会局長)

特に法的な権限は、現状はございません。

◆(草間委員)

なので、いつも出ていてもむなしいだけなのです。報告だけだったら、インターネットでも紙でもいただければいいわけで、わざわざ職員の幹部の方が集まって、議員も集まって意見交換をする程度です。

本当にこの会議の位置づけが、やるのだったらもっとしっかりしなくてはいけないし、やらないのなら、やらないという形でちゃんとしておかないと、こんなに宙ぶらりんな会議を常任委員会と予算・決算特別委員会と同じ位置にこの案で位置づけていこうというならわかりますけれども、しっかりその辺は議論しなければいけないと思いました。

ということはですね、よく選挙で「都筑区を○○にします!」とか候補者が言うじゃないですか。でも「それ本当にあなたの法的権限でできるんですか?」と疑ってください。

僕は、この法的な問題を早稲田大学マニフェスト研究所時代から、横浜市や行政区が抱える抜本的な課題として認識していましたから、公約はすべて「市条例を制定・変更して区行政に影響させる」アプローチをとっています。今の制度では、残念ながらそこが限界です。しかも、この問題は都筑区や横浜だけでなく、全国の政令指定都市で同様です。

ですので、まずは「ガス抜き化」している区づくり横浜市会議員会議の性質を、議会基本条例で明確に定め、法定会議に格上げし、僕ら横浜市会議員の区行政へのかかわりに法的根拠を与えたいと思います。条例案においては以下のように規定しました。

区行政との関わり

第21条
議会は、区ごとに、当該区において選出された議員により構成される区づくり推進横浜市会議員会議を設置する。

2.
区づくり推進横浜市会議員会議は、個性ある区づくりの推進に係る予算の編成及び執行並びに当該区の主要事業について協議するものとする。

3.
常任委員会及び特別委員会は、議案等の審査において必要があると認めるときは、関係する区長の出席を求めるものとする。

4.
議会は、必要があると認めるときは、区行政について具体的かつ個別的に検討する場を設置するものとする。


また、都筑区の議員団会議だけでなく、横浜市会でも、委員会審議で区長を議会に呼べるような内容にしました。

理想のゴールに向けてはまだまだですが、実はこれでも全国初なのです。区民としては、普段、別にこんなこと気にして生活している方は少ないと思いますが、言われてみればおかしいと思いませんか?そして、市会議員の役割ってじゃあ何なの?という意識をちょっとでも持っていただければ、恐らく都筑区の住民自治はもっと変わります。

目下、都筑区の唯一のビジョンである「都筑区まちづくりプラン 」に、公選の僕らがどうかかわれるか、これが僕の最大の関心事であり、しっかり意見を届けることができなければ、都筑区の住民の皆さんから選ばれている意味はないと思っています。

自由民主党神奈川県第19選挙区支部支部長
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